先日、NHKの番組「人生デザイン U-29」に、京都の「サウナの梅湯」という銭湯が出ていた。この番組は20代でお店や会社をやっている人や、自分らしい働き方をしている人などを紹介する番組。「サウナの梅湯」の回では、アパレル企業を脱サラして銭湯をはじめた、「サウナの梅湯」店長が出演していた。TOACHと同じ京都で頑張っておられるということでTVから目が離せなかった。
番組後半では「サウナの梅湯」を外国人に広めるための一手として、銭湯を紹介するCDジャケット大のカードを配っておられた。実際に集客効果もあったようだ。
この方法を飲食店に置き換えるとショップカードの進化版ということになろうか。お店の紹介やアクセス方法、ホームページのURLが書かれたカードを他の飲食店に置いてもらうという集客方法は以前から行われていたけれど、「サウナの梅湯」方式ではそこから一歩踏み込み、インバウンド対策のためにショップカードを英語化し、外国人が集まる場所を選んで配布している。
今回は、このような外国人集客のための(インバウンド対策としての)ショップカードを作る/活用する方法を解説する。
海外の方に「知ってもらう」ためのインバウンド対策を探しておられる方、来店された外国人の方が帰国後に友達に「広めてくれる」ための対策を探しておられる方は、この記事を読めばその答えが見つかるはずだ。
Contents
外国人向けショップカードを使った集客方法
ショップカードを使った既存の集客方法と、今回解説する方法が違うところは、多言語で書かれているという当たり前なことは置いておき、一番は「外国人向け」だというところ。
このことを念頭におけば、外国人が集まる場所へ、外国人に役立つ/興味を持ってもらえる情報をショップカードという形で配るということがスッと了解されると思う。
外国人観光客の方にとって、どういう情報が書いてあれば嬉しいか? どういう場所にあれば目にとまるか? そこのところを詳しく解説していこう。
記事では、まず「ショップカードのつくり」を紹介し、次に「ショップカードをどこに置いてもらうか」を解説する。
ショップカードのつくり
まずはショップカード自体のつくりのお話から。お店の名前など大まかにはこういうことを書く。
- お店の名前
- お店の紹介
- 特典
- お店がどこにあるか
- お店へのコンタクト方法
これらの情報をすべて載せる必要はない。この後でそれぞれの項目について詳しく説明していくから、あなたのお店にとって何が必要かを考えていただきたい。
先に完成図を見せておくと、ワインを立ち飲みできるイタリア料理店「Popolo」というお店があるとして、このお店のショップカードならこうなる。
載せる情報だけで見ると、日本人向けのショップカードとそう違いはない。ただ、この後見ていくように、それぞれの内容には「外国人向け」を念頭にしていることから様々な違いがある。
お店の紹介
まずは、料理やお酒、あるいはお店のウリなど、お店についての簡単な紹介文を書く。
もちろん英語か、特別に対応したい言語で書くことになる。日本語をその言語に翻訳することがまず最初のハードルになると思うけれど、最近はクラウドソーシングで翻訳してくれるもの、外国語の添削をしてくれるものなど様々なサービスがあるから、ハードルは下がっている。
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さて、「お店の紹介」に載せる内容として、特に外国人の注目を集める2つの情報がある。それは、「日本食」と「ハラルフード」だ。詳しく見ていこう。
日本食を推す
先日、外国人観光客を対象とした調査で、日本に来た目的のトップが「日本食を食べること」だという結果が出た。
外国人観光客は何を期待して日本に来ているの?国別の傾向をグラフ化してみた。 | 株式会社アクトゼロ
従い、もしあなたのお店がトラディショナルな日本食を扱っているならば、紹介文の中でアピールしておきたい。
ハラルフードもアピールする
ハラルフードという、イスラム教徒が食べていい食材だけで作られた料理がある。これは、何か特定の料理がハラルフードだということではなく、あくまで食材や調味料で決まるものだから、日本のお店で出している料理が実はハラルフードだったなんてこともあり得る。
京都で言えばローズカフェでハラルフードが食べられるのと、神戸のKOBE HALAL FOODではハラルな食材を販売している。このようにハラルフードに対応したお店が増えているとはいえ、まだまだ少ないのが実情だから、世界に16億人と言われているイスラム教徒のために、紹介文の中でハラルフードに触れることは良いアピールになる。
特典
ショップカードを読んだ外国人の方、そしてその周りの方にお店をアピールするため、ショップカードを持って来店された場合の特典を書いておこう。ショップカードを見て一回来てもらって終わりではなく、その後のことも考えた対策になる。
- ショップカードを外国人が見る
- 来店する
この流れに特典を加えるとこうなる。
- ショップカードを外国人が見る
- 来店する
- 「特典使えるからオススメだよ」と母国の友達や家族にすすめる
この3番があるから、ショップカードが無くされたり捨てられたりしない限り、ほとんど永久にどこか遠くの国であなたのお店が宣伝され続けることになる。
お店がどこにあるか
「住所」とは書かず、「どこにあるか」と敢えてまわりくどい書き方になってしまったのには理由がある。それは、住所が外国人にとって必ずしも役立つとは言えないからだ。
外国の方が日本へ来て、あなたのお店のショップカードを見つける。前々から食べてみたかったジャパニーズお寿司が食べられるということで行ってみたくなったけれど、「マイガッ」 住所がわからないから、お店まで辿りつけなかった。失意のまま国へ帰ることになったForeigner……。
このようなことを避けるため、google mapのお店のページのURLを住所と一緒に併記しておきたい。
現地の人に聞いたり、タクシーを使う場合は住所が役に立つけれど、やはり頼りになるのはgoogle map。僕が海外旅行した際の実体験としても、google mapまでの動線は載せておきたい。
google mapの使い方
まずは英語版google mapにアクセスしてお店を調べる。
このままではURLが長すぎるため、URLの短縮をしておく。
URLをコピーして、Google URL Shortenerにかける。
ショップカードには、この短縮版のURLを載せよう!
お店へのコンタクト方法
お店の雰囲気を知ったり、席の予約を取ったりしてもらうために、お店へのコンタクト方法を用意しておく。
SNSアカウントやメール、英語サイト、電話など、何らかのコンタクト方法を載せておこう。
※TOACHが以前書いた、街のお店がInstagramを使って集客する方法についてはこちら。
ショップカードをどこに置く?
こうして出来上がった、あなたのお店の自慢の外国人向けショップカードをどこに配るか。
カフェや雑貨店、ギャラリーなど様々な場所に置くことが考えられるけれど、この時も念頭に置きたいのは「外国人のため」というところ。 外国人が多く集まる場所はどこかと考えたとき、例えば京都ならこのような場所が浮かんでくる。
- 国際交流施設
- パブ系のお店
- お寺や神社周辺のお店
- Airbnbなどの民泊サービスに登録されている宿・部屋
- ゲストハウス
- 外国人が経営しているお店
国際交流施設とは、アンスティチュ・フランセ関西(旧 関西日仏学館)やkokoka京都国際交流会館、ゲーテ・インスティテゥート・ヴィラ鴨川などの、国際交流を行っている施設で、自然、外国人の方が多く集まるからショップカードを配っておきたい。
二つ目のパブ系のお店とは、HUBやMan in the Moonなどの海外のパブスタイルでお酒が飲めるお店のこと。こうしたお店にもよく外国人客が集まっている。
お寺や神社にショップカードを置いてもらうのは難しいかもしれない。そこで、その周辺の施設やお店にショップカードを置かせてもらおう。何しろ一番観光客が集まるのは観光スポットであることは疑いようがないのだから。
Airbnbに登録されている宿や部屋にショップカードを置いてもらうのも面白い。お店に置いてある場合と違って、じっくり読んでもらえる可能性があるし、何よりその宿のホストからの情報だから信頼もされるだろう。
※日本とタイでのAirbnb利用経験を元にしたAirbnbホスト向けの記事はこちら。
悩めるAirbnbホストへ。これさえ守れば予約される。良きホストになるための4つのルール。
外国人観光客はAirbnbをよく使うけれど、ゲストハウスに泊まることも少なくない。カオサン京都ゲストハウスなど、ゲストハウスに外国人の方が集まっている光景をよく見かける。
この記事は外国人観光客をメインに据えてきたけれど、日本に住んでいる外国人を対象にするのも大いに”アリ”だ。そう考えると、日本でお店を営んでいる外国人の方に頼んで、お店にショップカードを置かせてもらうということも考えられる。
おまけ 海外のショップカード
最後におまけとして、海外のショップカードを紹介する。実際にショップカードを作られる際の参考にしていただきたい。
Eldon’s Restaurant
Gopi
Yasmine
ショップカード作りをお手伝いします。
「外国人向け」ということを頭に、その作りから置き場所までを考えてきた今回の記事を参考に、是非ショップカードを作って頂きたいけれど、翻訳やショップカードのデザイン、配布に不安を覚える方も少なくないのではないでしょうか?
TOACHでは、外国人を対象として飲食店のショップカード作りをお手伝いしています。お気軽にご連絡ください。