大学四回生のとき、福島聡の「機動旅団八福神」というビームコミックスから出ている漫画を読んだのがキッカケで、本屋で漫画を買うようになった。
それまでは、漫画を買って読むということはしなかったのだから、大したインパクトをこの漫画から受けたわけだ。「漫画って、こんなに面白いのか!」と。
そんな折、「ウォッチメン」というアメコミを見つけて、アメコミってどんなだろう?と買ってみて、大いにぶったまげさせられた。
まるで小説を読んでいるかのような読書体験で、漫画を読んでいる感覚ではなかった。
あのアメコミのサイズなんて言うんだろう?
少年漫画と比べると三、四まわり大きい、青年漫画と比べてもまだ大きい。
そして大きさもさることながら分厚さも半端ないものだから、辞書かアルティマニアぐらいになっちゃってる。
そんなヘビーウェイトな一冊に、これまたヘビーでシリアスなお話が敷き詰められている。
大枠としては、1. ヒーローが活躍 → 2. なんやかんやで市民に疎まれる → 3. 悩むヒーロー。この後どうなる? という流れ。
このウォッチメンはアラン・ムーアという作家が1986年から87年にかけて連載していたアメコミで、同時代には映画「ダークナイト」三部作の原作「バットマン: ダークナイト・リターンズ」も発表されている。こちらはフランク・ミラー作。
アラン・ムーアとフランク・ミラーの手によるこの2つの作品にはストーリー上の共通点が多い。
ウォッチメンのストーリーの大枠二番まではどちらも同じで、三番が違うだけという見方ができるぐらいに。
もちろん、クリストファー・ノーランによる映画版「ダークナイト」もこの筋書きを踏襲している。
そうなのだけれども、八福神→ウォッチメンと来たあと、アメコミ原作ということで観てみた映画版「ダークナイト」が、ウォッチメンと共通点があることに気づかなかった。
映画の中のトピック一つ一つに感動していて、すこし大きな視点から見るということをしていなかった。といえば大げさだけれども。
アメコミ原作の映画は、最近では毎年のように上映される(大半はマーベルだけれど)。
去年か一昨年あたりに上映された、スーパーマンを映画化した「マン・オブ・スティール」もその一つ。
ダークナイトを監督したクリストファー・ノーランがスタッフに入っていることもあって、単なる勧善懲悪ではない、ヒーローの内面を深く覗き込んだ映画だった。
そして今度、バットマンがスーパーマンが共演する。その名も、「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」
映画館で予告編を見た時、サブタイトル「ジャスティスの誕生」の高らかなナレーションで爆笑してしまった。
正義の誕生だと、これはこれで重すぎるけど、この馬鹿っぽさはどうにかならなかったのだろうか(笑)
ゾンビ映画「ドーン・オブ・ザ・デッド」にならって、そのままのサブタイトル(ドーン・オブ・ジャスティス)でもアリだと思う。
しかし、2017年に公開されると言われている、バットマンとスーパーマン含め、DCコミックス系ヒーローによるアベンジャーズ的な映画「ジャスティス・リーグ」につなげるために、あえてジャスティスにしているんだろうな。
ジャスティスの誕生(む。この面白い響きが気にいってしまった)の予告編には、雨の中でバットマンとスーパーマンが対峙する印象深いシーンがある。
普通に考えると、素はただの人間であるバットマン 対 神に近い能力を持つスーパーマンなのだから、当然スーパーマンが勝つと思う。
でももしかしたらバットマンが勝つのかも?だとしたらどうやって?と期待を煽る予告編になっている。
実はこの疑問には答えが出ている。
前述のフランク・ミラーによる「バットマン: ダークナイト・リターンズ」で既に二人は戦っているのだ。
このアメコミの内容と、ジャスティスの誕生 予告編の内容を比べてみると、バットマンとスーパーマンの立場が綺麗に入れ替わっていることに気づく。
アメコミ・シリアスの基本ストーリーを踏み、市民に疎まれた挙句、敵意を持たれるのは、漫画ではバットマン、映画ではスーパーマン。
漫画では、決戦で二人が対峙した際、バットマンがスーパーマンを見上げている姿をバットマンの目線から描いているけれど、映画ではその逆。
バットマンを崇拝している集団「バットマンの息子」が漫画には登場して、色々と余計なことをやらかすが、映画ではスーパーマンに取り巻き集団がいる。
等々…。鏡像のように漫画と映画でバットマンとスーパーマンは置き換わっている。
すると、映画「ジャスティスの誕生」でバットマンとスーパーマンのどちらが勝つのか?はわかってくる。
ジャスティスの誕生は来春公開だけれども、もうネタバレできちゃうし、しちゃう。
ずばり、スーパーマンが死んだフリする。
これです。外れてたらかなり恥ずかしいけれど、有名ブロガーでもないので、突っ込んでくるのは相棒・三田ぐらいだろうて。
そして、サブタイトルに「ジャスティス」と入っているとおり、ジャスティス・リーグに繋がる仕掛けはいれてくるはず。
そうすると、漫画版の続編「バットマン: ダークナイト・ストライクス・アゲイン」も視野に入ってくるけれど、うまく繋げられるのだろうか?
何にせよ、バットマンとスーパーマンがドカドカ殴りあうだろう「ジャスティスの誕生」はとても楽しみ。
※レゴバージョンの予告編も見つけた(笑)
ジャスティスの誕生の予習として、前のスーパーマン映画「マン・オブ・スティール」を観ておくといいです。
Written by Yuki Doi.