絶対に見た方がイイ名作アニメ映画 / OVAのおすすめ42選! 第六話

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日本のアニメ映画やOVAは、今ほどアニメが市民権を得ていなかった頃から現在に渡り、様々な影響を他作品に与えてきた。

それこそ海を越え、山を越えて。

その中には数十年前の作品も多いけれど、今でも通用するものも多い。

今回は、そんな劇場アニメとOVAのおすすめ42作品をまとめて紹介する!

FLCL(フリクリ)

フリクリはなんといっても雰囲気が大好き。

ロボットアニメでありながら、メーンに描かれるのは小学生ナオ太や他の登場人物たちの日常であり、そのシーンの端々から、ゆるい退廃ともいえる雰囲気が漂ってくる。

今とおなじ現実がこの先もずっと続くのだろうという諦観と、でもそれも心地いい、まあいいかと思っている、マイルドヤンキーにも通じる観念から来る雰囲気がとてもいい。

物語終盤、ナオ太はハル子との宇宙行きを断り、町に留まることを選ぶ。

僕の目にはこれが、ゆるい退廃から抜け出さない、意気地なしのように見える。

また、カメラマンを志して女子高生・マミ美が町を出ることから、実はこのアニメはマミ美の成長物語だったんじゃないかと考えている。

ただ、町を出ることが成長に繋がるかと言われれば、果たしてどうなんだろう?というのが正直なところ。

今やっている朝ドラの「まれ」に出てくる、モデル志望の蔵本一子(清水富美加)は、横浜に出て夢を追っている主人公・まれに感化されて大阪に出た後東京へ上京するけれど、何者にもなれず地元へ戻る。

こういう、取り敢えず都会に出てみたけれど、遊びや生活の維持に精一杯で、歳だけ食い、疲弊して地元へ戻る例は現実世界でも枚挙にいとまがない。

ナオ太は、そこをわかっていて、敢えて地元に残ることを選んだのかもしれない。

 

ゆるい退廃といえば山内マリコ

小説でこのゆるい退廃を描いている作家に山内マリコという人がいる。本屋で著作を見かけたら必ず買うようにしているけれど、その中でおすすめなのは「ここは退屈迎えに来て」

地元への退屈や、人間関係についての嫌味、都会的なるものへの憧れはあるが、別の面では地元が好きというコンプリケイテッドな世界観がフリクリに良く似ている。

 

J-Rock好きも楽しめる

フリクリの魅力の一つに、なんといってもテンポの良さがある。ロックバンド「the pillows」の曲をバックに、これでもかと詰め込まれた演出がドタバタと放たれるのはアニメーションとして純粋に楽しい。

the pillowsは僕が生まれた1989年に結成され、25周年を越えた現在も活動を続ける息の長いバンド。

フリクリで使われている「Ride on shooting star」はもちろん、本編クライマックスで流れる「LAST DINOSAUR」は、GAINAXの前身たるDAICON FILM(ダイコンフィルム)がSFイベント「DAICON4」のために制作したアニメーションのセルフオマージュシーンにとてもマッチしている。

このシーンで、ヒロイン(?)のハルハラ・ハル子が「クライマックスだ!」と叫んで、「LAST DINOSAUR」が流れはじめる演出は、特に好きなシーン。フリクリ内僕ランキング1位といってもいい。

フリクリのサウンドトラックはこれまでに3本も制作されていて、the pillowsの曲のみが収録されている第三弾は、ジャパニーズ・ロックファンにもおすすめできる。

フリクリはOVAバージョンが広く知られているけれど、これを補完する形の小説版と漫画版も出ていて、榎戸洋司やウエダハジメなど、OVA制作に携わったスタッフによって作られている。

 

ジャンル : ロボット、SF、学園

監督 : 鶴巻和哉

キャラクターデザイン : 貞本義行

制作 : ProducionI.G、GAINAX

公式 : フリクリ

 

ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日

指パッチンの強さがインフレしているロボットOVA。

当人以外に考えつかない派手な演出と、シリアスなストーリーテリングが持ち味の今川泰宏監督の代表作が、この「ジャイアントロボ THE ANIMATION 地球が静止する日」

ジャイアントロボという巨大ロボットを操る主人公 草間大作の所属する国際警察機構とBF団の闘いを描いたロボットアニメだ。

ロボットものだけれど、そこは演出の天才 今川泰弘の仕事。メカよりも強い生身の人間が活躍しまくる。

例えば、素晴らしきヒィッツカラルドは前述の指パッチンで衝撃波を起こし、人間も車もヘリもなんでも真っ二つにする。

「スーパーロボット大戦α」をプレイしたことがある人なら、指パッチンでグルンガスト参式を真っ二つにする無茶苦茶な強さを覚えていることだろう。

今川泰弘は他にも数々のアニメ作品を監督しており、富野由悠季から直々に監督を頼まれた「機動武闘伝Gガンダム」では、「布」でロボットを破壊するという、これまた無茶苦茶な演出を見せる。

あの自由すぎる演出が最高なんだよなあ。

構想段階では、全26話分のストーリーが構想されていた本作。

残念ながらすべて映像化されたわけではないが、残りは一部漫画化されている。

 

ジャンル : ロボット、SF

監督 : 今川泰宏

原作 : 横山光輝

 

老人Z

暴走した高性能介護ロボットを止めるために奔走する女子大生と老人ハッカー。

周りの構造物を吸収して巨大化する介護ロボットは、AKIRAを制作した大友克洋の演出を思わせるが、あくまで大友克洋は原作やメカニックデザインのみで、監督は「BLOOD THE LAST VAMPIRE」の北久保弘之が担当している。

 

ドタバタコメディとして高齢化社会を描く

高齢化社会が深刻化した世界で、介護をロボット任せにするという設定は、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society」でも使われているが、老人Zはユーモアを交えてこれを描いている。

例えば、暴走介護ロボットと融合した老人が、「2001年宇宙の旅」から名前を取ったと思われる妻・ハルとの思い出の地を目指しながら、行く手を阻むものを破壊あるいは吸収していく姿はドタバタコメディとして面白い。

また、老人ハッカー三人組が介護ロボットをハッキングして止めようとする姿も「ウォー・ゲーム」の老人バージョンのようで大変良い上、おじいちゃん達がパソコン叩いて活躍している画がむちゃくちゃカッコいい。

 

スタッフが豪華すぎる

この作品には日本アニメ界の重鎮たちが何人も参加しており、豪華すぎるその顔ぶれには舌を巻くばかり。

「AKIRA」の大友克洋をはじめ、「電脳コイル」の磯光雄、「東京ゴッドファーザーズ」 今敏、「フリクリ」や「トップをねらえ2!」の鶴巻和哉など、上げればキリがないほどのの早々たるメンツが参加している。

 

ジャンル : SF

監督 : 北久保弘之

原作 : 大友克洋

メカニックデザイン : 磯光雄

美術設定 : 今敏

公式 : 老人Z HDマスター版 DVD

 

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