日本のアニメ映画やOVAは、今ほどアニメが市民権を得ていなかった頃から現在に渡り、様々な影響を他作品に与えてきた。
それこそ海を越え、山を越えて。
その中には数十年前の作品も多いけれど、今でも通用するものも多い。
今回は、そんな劇場アニメとOVAのおすすめ42作品をまとめて紹介する!
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機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
やっぱり80年代末のアニメはたまらんすわ〜。
セル画アニメの、あのややくすんだ色合いとか、CG全盛じゃない時代の演出(金属の描き方など)がたまらない。
その年代のアニメには、逆襲のシャアをはじめ、パトレイバーやAKIRA、王立宇宙軍 オネアミスの翼があるが、いずれもある種独特な雰囲気を纏っている。文化祭前夜のような、ワイガヤと心地いい疲れに溢れたあの感じ。
逆襲のシャアが公開されたのは1988年だから、そういった雰囲気を持つアニメの、ほとんど最終形だった。
テーマソングは小室哲哉が元いたTM NETWORKの「BEYOND THE TIME 〜メビウスの宇宙を越えて〜」
この曲も、いかにも80’sって感じで大好きだ。
エヴァンゲリオン 庵野秀明がドはまりした
新世紀エヴァンゲリオンの監督である庵野秀明がこの作品に感動し、自ら「逆襲のシャア 友の会」という同人誌を作り、業界の大物※が参加したのは有名な話。
※會川昇、あさりよしとお、幾原邦彦、出渕裕、井上伸一郎、内田健二、大月俊倫、押井守、岸川靖、北爪宏幸、ことぶきつかさ、此路あゆみ、サムシング吉松、鈴木敏夫、鶴田謙二、永島収、早見祐司、ふくやまけいこ、藤田幸久、美樹本晴彦、むっちりむうにい、山賀博之、結城信輝、ゆうきまさみ – 出典 : WEBアニメスタイル
この錚々たるメンツ! 個人的には、一貫して人型ロボットを批判している押井守のインタビューを読んでみたい。どこかで手に入らないのかしらん。
ジャンル : ロボット、SF
監督 : 富野由悠季
キャスト :
古谷徹
池田秀一
鈴置洋孝
音楽 : 三枝成章、TM NETWORK
公式 : 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊
サイバーパンクアニメの最高峰。いくつもの作品がここから影響を受け、今なお語られる名作。
電脳空間というインターネット上の世界が当たり前になり、画面越しではなく、直接ネットにダイブするようになった世界で、現代より複雑化した事件を追う主人公たち。
同名の原作漫画の劇場版である本作は、押井守による、この時代の科学技術によって起こりうる問題の考察が楽しい。
元ネタは小泉八雲?
「そう囁くのよ。私のゴーストが」とは、本作の主人公 草薙素子の決まり文句。
作中では、人間の魂のようなものをゴーストと表現している。
先日、NHKでやっていた「100分で名著」で小泉八雲を紹介していたけれど、魂的なるもの=ゴーストという捉え方を小泉八雲がしていたっぽくて、だとすると攻殻機動隊の「ゴースト」の元ネタは小泉八雲なのかしらんと想像が広がった。
サイバーパンクはおもしろい
ウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」的世界観を持つ原作「攻殻機動隊」は、サイバーパンク漫画としてはトップクラスに有名。
人体に直接機械を埋め込んだり、ネットに第二の空間があって、そこを体ごと泳ぐという設定なり小道具なりがサイバーパンク物の特徴で、今ほどITが発達していない時代に誕生したジャンル。
発達していないからこそ、人間の想像力が発達したのか、サイバーパンク物の描く世界はとにかく面白い。
GHOST IN THE SHELLもその例に漏れず、記憶を外部化したせいでハッキングされ、記憶を改ざんされた男の悲劇、人権を主張するAIなど、今でも古びないモチーフを描いている。
実写化も進んでいる
GHOST IN THE SHELLは国際的にも広く影響を与えていて、マトリックスはもちろん、最近では、クオリティの高すぎる実写ファンムービーが作られたりもした。
Project 2501 – Homepage to ghost in the shell
スカーレット・ヨハンソンが素子役をやって攻殻機動隊を実写化するという話があったり、少し前から実写化の噂は絶えない。今のハリウッドのCG技術があれば決して映像化不可能ではないから、いつか実現するだろうなと期待している。
ジャンル : SF
監督 : 押井守
脚本 : 伊藤和典
原作 : 士郎正宗「攻殻機動隊」
キャスト :
大塚明夫
田中敦子
山寺宏一
音楽 : 川井憲次
2008年、「スカイ・クロラ」上映記念に公開されたリニューアルバージョン「攻殻機動隊 2.0」
新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 Air/まごころを、君に
本当にいい映画を観たあとは放心状態になるけれど、このエヴァンゲリオン旧劇場版も、中学生当時に観てぼ〜っとしてしまったことを覚えている。
クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険の次によく観た作品で、観る度にぼ〜っとする。
エヴァンゲリオンは、人造人間に少年少女が乗り込み、使徒と呼ばれる敵と戦うSFアニメ。
監督の庵野秀明が公言しているように、構造としてはウルトラマンそのもの。
そこに、主人公 碇シンジが受けたネグレクトによる対人恐怖から来る葛藤を盛り込み、精神性を付与しているほか、庵野秀明の膨大な映像オタク知識や神話的モチーフを加えて重層的な楽しみ方ができる。
謎解きがおもしろい
TVシリーズのエヴァンゲリオンが放映された当時、こうしたエヴァンゲリオンの世界を解説する「謎本」がいくつも出版された。
その中でも特にオススメなのは、クトゥルー神話本の編集に携わった大瀧啓裕によるもの。
シンジくんの成長物語
作中に散りばめられたいくつもの思わせぶりな演出を紐解くのも楽しいけれど、僕の中でエヴァンゲリオンは、「シンジくんの成長物語」に落ち着いた。
この視点を持ってTVシリーズと旧劇場版を見直すと、無数のディテールが削ぎ落とされ、裸のエヴァンゲリオンが見えてくる。
シンジくんの葛藤の根っこには、「父に見放された」事実があり、それを抱えながらひと皮もふた皮もむける「男・碇シンジ」の話だと捉えるとわかりやすい。
そういえば、映画終盤で流れる楽曲「Komm, süsser Tod〜甘き死よ、来たれ」が、ビートルズの「Hey Jude」を元にしていて、Hey Jude自体が、離婚で不遇な状況にあったジョン・レノンの息子への曲である点が面白い。
ジャンル : ロボット、SF
監督 : 庵野秀明、鶴巻和哉
キャスト :
緒方恵美
三石琴乃
林原めぐみ
宮村優子
音楽 : 鷹巣詩郎
制作 : GAINAX、Production I.G
人狼 JIN-ROH
「第二次世界大戦後に日本がドイツに占領されていたら?」という設定で描かれる、日本を舞台とした作品。
この世界の日本では、SWATばりの戦闘力を持った警察「首都警」が組織され、主人公・伏一貴はこれに所属している。
押井守が原作とあって、かなり難解な作品だけれど、主人公とヒロイン(雨宮圭)の静かな交流が描かれるシーンにはとても感じ入る。
この静かなトーンがラスト辺りで一気に畳み掛けるようなダイナミック・トーンに変わるところに、確かな構成力を感じる。
セルアニメーションはやはり良い
本作は、Production I.G最後のセルアニメーション作品で、CGを極力排して作られている。
個人的に、セルアニメーションの作画のいい作品は、人間の動きに重さを感じられるから好きで、人狼もこれに当てはまる。
他にはイノセンスのクライマックスでの敵地に突入するバトーの走りも大変いい。
ひたすら走る映像があればいいなと思う。すごく重そうに走る映像。二万円までなら出しちゃうな。
ジャンル : ドラマ
監督 : 沖浦啓之
原作・脚本 : 押井守
音楽 : 溝口肇
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