日本のアニメ映画やOVAは、今ほどアニメが市民権を得ていなかった頃から現在に渡り、様々な影響を他作品に与えてきた。
それこそ海を越え、山を越えて。
その中には数十年前の作品も多いけれど、今でも通用するものも多い。
今回は、そんな劇場アニメとOVAのおすすめ42作品をまとめて紹介する!
Contents
ルパン三世 カリオストロの城
押しも押されもせぬ日本アニメーションの名作で、ルパン三世劇場版の二作目にあたる。
少女とおじさんの映画
クラリスがとびっきり魅力的な少女に描かれているけれど、警官隊のおじさんたちもメロメロになっている姿が可愛い。
警官だけでなく、ルパンも次元も五右衛門もメロメロなのだけれど、この「クラリス対おじさん」の関係性が愛らしく、カリオストロの城の名シーンはこの関係性の上で描かれていることが多い。
宮崎アニメの少女は、他のアニメ作品とは一線を画す魅力的なキャラクターばかりだけれど、実はその魅力はキャラクター単体では発揮しにくい。
カリオストロの城におけるおじさん達のように、他のキャラクターによって初めて魅力が浮き彫りになる。
とはいえ、おじさん達が少女を際立たせるだけの存在に陥ることはなく、クラリスとのやりとりの中で魅力的に映る。
そういう意味ではこの作品、おじさん好きな女子向けともいえる。
ジャンル : アクション
監督 : 宮崎駿
原作 : モンキー・パンチ
公式 : http://cagliostro-remaster.jp/
機動戦艦ナデシコ -The prince of darkness-
ロボットアニメ 機動戦艦ナデシコ TVシリーズのラストから3年後が舞台の劇場作品。
TVシリーズはコメディ満載の内容だった所から打って変わって、シリアス路線が新鮮な作品になっていて、観終わった後にすこしばかり寂しさが残る。
元々、TVシリーズのあの楽天的な内容が好きだったから、そのカウンター的な意味でとても印象の深い作品だった。
ロボットが動くだけで楽しい
ロボットアニメの質のいいものは、ただロボットが動いているだけで感動して泣けてくるのだけれど、劇場版ナデシコ(劇ナデ)では、宇宙空間でロボットが超長距離射撃をして、その弾丸が弧を描くところにアツくなったもの。
天元突破グレンラガン 15話、螺旋王の回し蹴りもアツい。回し蹴る直前にすこしタメがあって、とても人間的なロボットの動きに感動する。
仲間由紀恵も参加
劇ナデには仲間由紀恵が声優としてコミットしていて、その意味でも貴重な作品。
そのキャラクター「ラピス・ラズリ」はあまり喋らないけれど、仲間由紀恵によく似た雰囲気のキャラクターで、ナデシコに続編があるならもう少し掘り下げて見てみたい。
ジャンル : ロボット、SF
監督 : 佐藤竜雄
キャスト :
うえだゆうじ
桑島法子
仲間由紀恵
制作 : XEBEC
たまこラブストーリー
京都は出町柳の「出町升形商店街」を下敷きにした「うさぎ山商店街」を舞台に、高校生「北白川 たまこ」の成長を描く作品。「たまこまーけっと」は本作の前日譚にあたるTVシリーズ。
卒業前のモヤモヤ
主人公たまこは、高校卒業後の進路や初めての恋愛を通して、自分で考えて選択することを学ぶが、大人になるってこういうことだよなと思わせられる。
京都アニメーションの作品は、思春期の不安を描くのが上手いなといつも感心する。不安を抱えてモヤモヤしていたときに見ていた風景、あまり気にしてくれない周りの人たちなど、思春期あるあるが散りばめられているから共感しやすい。
一種の雰囲気アニメ
僕は京都に住んでいるけれど、たまこラブストーリーは京都を舞台にしているから、行ったことのある場所があちこちで出てくるたび、知ってる知ってる!となって嬉しかった。
たまこのもやもやとうまくオーバーラップさせて京都市内の風景をエモーショナルに描くものだから、これも一つの雰囲気アニメだ。
日常系アニメ
実写ではそうではないが、劇場アニメが日常を題材にすることは少ない。
これは、目に見えるものをほぼ何でも映像にできるアニメだから、つい見た目が派手になる方向へ作品の舵を切るせいかと思うけれど、そうといって見た目ばかりを求めると、アニメーターの頭のなかをそのまま映像化したようなものになり、「お話」ではなく「映像」になってしまう。
たまこラブストーリーはこうしたアニメーターのお遊びに陥ることなく、観た人の心を動かす名作になっている。
ジャンル : 学園、コメディ、ラブストーリー
監督 : 山田尚子
原作 : 京都アニメーション
公式 : 『たまこラブストーリー』公式サイト
キル・ビル Vol. 1
クエンティン・タランティーノがアポなしでProduction I.Gに飛び込んで制作をお願いしたという頭のおかしなエピソードで知られる、キル・ビルの登場人物の過去を描くアニメパート。
アフロサムライのようにバカバカしくて爆笑できる自由な演出が特徴で、仲間とビールを飲んでゲラ笑いしながら観るのにイイ。
新世紀エヴァンゲリオン旧劇場版は、アニメ映画に関わらず実写映像を使ったことで新しかったけれど、キル・ビルはその逆で、実写映画にアニメーションが差し込まれる。
※そういえば、エヴァンゲリオンの監督 庵野とキル・ビルのタランティーノが特殊能力と言えるほどの映画マニアだという共通点がある。
キル・ビルの主人公ザ・ブライドの敵 オーレン・イシイが殺し屋になるまでを描いたアニメが突然始まってぽか〜んとする中、「何かおかしい?」とでも言いたげにアニメーションは続く。この置いてけぼり感を楽しんでほしいアニメ。
ジャンル : クライム・アクション
監督 : クエンティン・タランティーノ
制作 : Production I.G
BLOOD THE LAST VAMPIRE (ブラッド・ザ・ラスト ヴァンパイア)
「東のエデン」や「009 RE:CYBORG」で有名な神山健治の脚本による、横田基地内のアメリカンスクールを舞台に、日本刀を操る少女 小夜が怪物を追い詰める作品。
日本刀という小道具を使っていることからわかるとおり、キル・ビルの主人公が小夜からインスピレーションを受けているとクエンティン・タランティーノは語っている。
それだからか、BLOOD THE LAST VAMPIREの制作会社のProducion I.Gにキル・ビルのアニメパートを依頼したのかもしれない。
冒頭のシーンが最高にクール
冒頭、地下鉄の電車内で日本刀を使って化け物を斬殺するシーンが最高にクールで、ガンガンに心震わせてくれる。
もし、あのシーンだけで本作をクラウドファンディングにかけたとしたら、募集金額の軽く10倍は集まるはず。それくらいクール。
押井塾発
本作の脚本は神山健治が書いていて、押井守の脚本講座「押井塾」の生徒。
BLOOD THE LAST VAMPIREは、押井塾で神山健治が発表した企画が元になっている。
この押井塾は、一週間に一本企画書を書いてくるというハードな講座な上、一回でも企画書を提出できないと席が無くなるスパルタな講座でもあった。(執行猶予的なものは合ったらしい)
押井守の映画論を教えるわけではなく、フォーマットみたいなところから企画書の書き方を教えるというところが意外だなと思った。
本人は、そういう基本中の基本を抑えた上で、「立喰師列伝」のような突飛すぎる作品を作っているのだろうから、恐れ入る。
小説版もオススメ
「獣たちの夜 – BLOOD THE LAST VAMPIRE」として小説化もされていて、そちらは師匠 押井守が書いている。
「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」に見られるような、若者が集まったときのワイガヤ感と、押井守特有の独特な文章まわしが楽しい作品。
ジャンル : アクション
監督 : 北久保弘之
脚本 : 神山健治
制作 : Production I.G
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